行列式の特徴づけと公式
行列式の特徴づけ
n次行列の行列式はn2変数の多項式で、行・列に関して線形かつ交代的。
逆に、線形かつ交代的なn2変数の多項式がn次行列(の定数倍)になることを示す。
証明
は自然基底とする。 n2変数の多項式 を、n次元ベクトル の関数とみなせば、
- 線形性から、
- 交代性から、 の中に等しいものがあれば
したがって、(1)の和は がすべて異なるような組、つまり の順列にわたる和であるとしてよい。
を の置換、 を置換の符号、 を 個の置換全体の集合だとすると、交代性から
よって、 、 とすれば、(1)は
よって、線形かつ交代的なn2変数多項式は行列式の定数倍になる。ここで、 ( はKronecker delta )。
応用した公式
として、 を 次行列とする。そして、 を小行列に分割して
と表す。 は 次行列であり、 は 次の零行列 ( i と j は 1 または 2 )。この行列の行列式は
とかける。これを示そう。
この行列式を の元についての多項式だと考えると、この多項式は の行に関して線形かつ交代的だから、さきほど示したことから
ここで は、行列式 において、 を 次単位行列 に置き換えたものだから、
となる。したがって
注意
二次正方行列の行列式の公式に似ているが、
などは成り立たないので注意しよう。 のときに限った公式である。